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豊田自動織機への株主提案を撤回

2024年5月16日

豊田自動織機への株主提案を撤回し、豊田自動織機が発表した「企業価値向上の取り組み」についての私共の意見の書簡を取締役会へ送付しました。

今回貴社が発表された「企業価値向上の取り組み」について、弊社でも慎重に検討致しましたが、結論として私共が株主提案に込めた考えと大枠において整合的と考えます。かつ公表された株主還元や政策保有株式売却の金額規模は、貴社ご経営陣・取締役会による企業価値向上への取り組みが本気である事を印象付けるものでした。取締役会における真摯なご検討の積み重ねと勇気ある決断に敬意を表します。以上の判断から、私共の本年株主総会における提案は全て取り下げます。


併せて、この場をお借りして「企業価値向上の取り組み」について、もう一段掘り下げた私共の意見を、取締役会の皆様にお伝えしたいと思います。私共は更なる改善のポイントが3つあると考えます。


  1. 資本コストや株価の「意識」を定量的に行う事。東証要請において一番肝心な点は上場企業が自社の資本コストや株価を分析し見解を持つ事です。私共が拝見する限り、貴社は現時点で自社の資本コストやあるべき株価水準を(少なくとも定量的には)明確にされておられません。東証要請は株式市場との双方向コミュニケーションを企業価値向上プロセスの核心と位置付けており、資本コストや株価の認識はその大前提です。私共は、貴社が資本コストを8%程度と認識した上で、事業・資産毎の価値分析・積み上げによって貴社自身の企業価値及び市場評価とのギャップを把握する事を希望します。これによって貴社と市場との対話はより建設的で価値あるものになるでしょう。


  2. 投資判断基準としての投下資本利益率(ROIC)を採用し、その目標をコミットする事。原則として個別投資案件の評価・意思決定はROICが(加重平均)資本コストを超えるかどうかによって判断されるべきです。資本コストをカバーできない投資は企業価値を棄損するものです。貴社「企業価値向上の取り組み」はROE改善目標へのコミットを示しているものの、「R」の改善は既存事業が中心となってけん引すると理解しています。1.5兆円もの成長・基盤投資がそれぞれどの程度のリターンを生み出すのかは現時点で不透明感が強く、万が一これらが資本コストを下回るものであれば長期的に企業価値の棄損につながる事を懸念します。私共アイシン社も掲げたROIC10%という目標・規律を貴社も採用されることを希望します。


  3. トップマネジメントによる株主・投資家との対話の機会を一層充実する事。トップマネジメントと投資家・株主との対話は企業価値向上プロセスのエンジンであり、私共はこれを少なくとも四半期に1回程度の頻度を確保して頂くことを希望します。


以上、ご検討のほどよろしくお願いします。次回の訪問の際には上記ご提案についての貴社のご見解をお伺出来れば幸いです。企業価値向上という目標とフレームワークを貴社ご経営陣と株式市場が今回共有できた事は価値ある第一歩であり、私共も継続的な対話を通じて、企業価値向上プロセスの一部となれることを願っております。


以上

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